写真紀行・旅おりおり トップページへ 写真紀行・旅おりおり : 旅先で撮影した景色、建築、史跡、祭、風物等の写真と動画
 <史跡を巡る写真紀行

 印象深い景色
坂道 灯台
横丁・小路
街角 通り
温泉
 史 跡
街道 史跡
遺跡 人物
奥の細道 墓地・終焉地
Play Back 城・城跡
 建築・構造物
歴史的建造物 先端建築
神社
教会
漁港 垣根
 自 然
池・沼・湿原 海岸
 産業・交通
伝統・地場産業 バスターミナル
自動車・バイク
国内線 道風景
航空機
 四季の景色
棚田 桜紀行
春景色 夏景色
秋景色 冬景色
 歌の舞台・祭・他
歌の舞台 祭・イベント
夜景 テ−マパ−ク
趣味悠々 食紀行
日曜画家  
 管理人
管理人備忘録 リンク集
旧神谷伝兵衛稲毛別荘 ワイン王神谷伝兵衛   千葉県千葉市
旧神谷伝兵衛稲毛別荘
旧神谷伝兵衛稲毛別荘 旧神谷伝兵衛稲毛別荘
 この付近(稲毛海岸)は、かつては眼下に海が広がり、潮の香りが漂う緑の松林に囲まれて、夏には海水浴場が設けられた格好のリゾート地であった。そのため著名人により別荘が多く建てられた。この稲毛別荘は、初代神谷伝兵衛(1856−1922)が大正6年(1917)建設に着手し、翌7年(1918)に竣工した。 
 伝兵衛は、明治時代、「蜂印香竄葡萄酒」(はちじるしこうざんぶどうしゅ)や「電気ブラン」の名を広め、フランスからワイン製造事業を導入した実業家である。  
 当時は、母屋である木造雁行型の和館とゲストハウスのこの洋館が隣接していたが、現在では、洋館のみが残り一般公開している。建物は海岸段丘を削ったところに立地していて、天井の飾りや二階和室の意匠などに伝兵衛の心意気が見られる。
 この建物は昭和59年(1984)、川島豊冶氏より寄付されたもので、市内に残る鉄筋コンクリート建物としても古く、大正12年(1923)の関東大震災による煉瓦建築の崩壊ぶりを見るまで、一般的な建築構造として充分認められていなかった時期に建築されたものとして、建築史の上からも大変貴重である。
 神谷伝兵衛は、このモダンな別邸が竣工した4年後の大正11年(1922)に66歳で逝去しているのでこの別荘で静養できたのも僅かの間であった。遠浅だった海は、昭和36年(1961)から開始された埋め立てで、大きく環境が変わり集合住宅や商業施設が立ち並んでいる。海岸線は1km以上遠くに行ってしまったが、本邸は神谷伝兵衛の事績と、100年前の華やな稲毛海岸の別荘地としての記憶を物語っている。  
 千葉市が平成元年(1989)8月から平成2年(1990)3月にかけて保存修理を行って、平成9年(1997)に国登録有形文化財となっている。 
旧神谷伝兵衛稲毛別荘・正面、一階のベランダ、左のドアは洋間への入口 旧神谷伝兵衛稲毛別荘・玄関ホールの天井。
初期の鉄筋コンクリート建築>  
 稲毛別荘建築は設計者等や施工者等の記録が無く、残念ながら特定できていない。洋館の構造は、鉄筋コンクリート造り、半地下、地上2階建で、延面積は291u、屋根架構は、キングポストトラス(中央に束のある洋風小屋組)である。
建築様式と内部の特徴  
 建物の外観は、一階ピロティ(ベランダ)正面にロマネスク様式に通じる5つの連続アーチがあり、建物全体の外壁はコンクリートの上に白色磁器質タイルで仕上げ、屋根末端にはおしゃれな金属の持ち上げが設置されている。直線的なデザインはアールヌーボーやゼセッションの影響を受けており、昭和初期に導入されるモダニズム建築への変化をうかがわせる特徴を持っている。 建物の内部は、一階が本格的な洋間であるのに対し、二階が和室となっている。  
旧神谷伝兵衛稲毛別荘・一階の洋間 旧神谷伝兵衛稲毛別荘・一階洋間、マントルピース、大理石をベースにビクトリアンスタイルの絵描きタイルをはめこんでいる。
旧神谷伝兵衛稲毛別荘・洋間での会議の写真。→印は犬飼毅
 上の写真は、洋間でのパーティーの様子、→印は板垣退助。
一階>  
 扇状の入口階段は庭とバルコニーとをつなぐだけでなく、背後が海岸段丘で玄関が設けられないため、ベランダに設けられた玄関へのエントランスも兼ねている。ベランダは市松模様のタイル床で天井はシンプルだがアーチ上部の内側もタイル貼りである。
 内部の装飾は、玄関ホールの天井に持ち送りが施され、シャンデリア中心飾りに葡萄のレリーフを用いたり、洋間に設けたマントルピースはヴィクトリアンスタイルの絵描きタイルをはめ込み、金属製の円柱装飾で上部を支える構成とし、また、床を寄木張りとするなど、華やかなあしらいとなっている。
旧神谷伝兵衛稲毛別荘・緩やかなアールの階段が続く吹きぬけのホール。 旧神谷伝兵衛稲毛別荘・階段天井のシャンデリア。
階段> 
 内部階段は、典型的な洋風階段と見せながら、一階から二階へ続く壁を優美な曲線を描いた白漆喰仕上げとし、途中2箇所に花台をあしらうなど、一階の洋風と二階の純日本風を結ぶために、意識的にしつらえている。
旧神谷伝兵衛稲毛別荘・2階和室 旧神谷伝兵衛稲毛別荘・葡萄の床柱
旧神谷伝兵衛稲毛別荘・葡萄の欄間、透かし彫り 旧神谷伝兵衛稲毛別荘・2階天井
旧神谷伝兵衛稲毛別荘・2階、南側広縁、アールコーブを望む
二階
 二階は、12畳の主和室と8畳の和室を中心に、他に洋室の小部屋、及び納戸で構成されている。 主和室の東面と南面に広縁が巡り、障子を隔てて静かな空間が確保されている。その南東隅に半円形の眺望台のようなアールコーブがある。洋風の出窓のように見えるが畳敷きではないものの、板張りで砂壁という純和風の作りで、ガラス窓は平板だが壁や窓枠、床も円筒形に加工されていて凝った造りとなっている。
 主和室は、数奇屋風のつくりで、床の間が長手方向に設けられ、違い棚や付け書院を合わせもった本格的なものである。 床柱には、葡萄の巨木を用い、天井は囲炉裏にいぶされた煤竹に縁どられた折上げ格天井で、付け書院の欄間にも葡萄の透かし彫りをあしらい、部屋全体を葡萄棚に見立てた仕上げなど、一階の内部装飾とともに、ワイン王神谷伝兵衛をしのばせる意匠が、随所に見られる。 (画像と解説文は I.Hさん提供)
北海道
函館 旧イギリス領事館 旧函館区公会堂 赤レンガ倉庫群 旧ロシア領事館
遺愛幼稚園 函館支庁舎 旧相馬邸 太刀川家住宅店舗
札幌 旧北海道庁 札幌市時計台 清華亭 古河記念講堂
総合博物館 エルムの森 札幌電話交換局
小樽 日本銀行旧小樽支店 旧白鳥家番屋 小樽貴賓館 小樽鰊御殿
旧篠田倉庫 旧三井物産小樽支店 旧第一銀行小樽支店 旧北海道拓銀小樽支店
旧安田銀行小樽支店 旧向井呉服店倉庫 旧三井銀行小樽支店 旧渋澤倉庫
旧小樽倉庫 旧大家倉庫 旧第四十七銀行小樽支店 旧塚本商店
旧日本石油(株)倉庫 旧北海道銀行本店 梅屋商店 小樽商工会議所new
東北
五所川原 津軽の民家 斜陽館@ 斜陽館A
黒石 こみせ 高橋家住宅 鳴海家住宅
山形 文翔館 旧県会議事堂
陶器店 赤れんが郷土館 多層民家 旧料亭 金勇 安田銀行会津支店
関東
東京 鳳明館 近衛局本部付属舎 工部省品川硝子製造所 内閣文庫
帝国ホテル中央玄関 川崎銀行本店 羽黒洞 松本家住宅主屋
横浜 横浜赤レンガ倉庫 横浜市イギリス館 横浜税関 旧英国七番館
川越 蔵造り商家 旧第八十五銀行本店 時の鐘 大正浪漫夢通り
藤沢 石曽根商店 伝統的家屋
鎌倉・旧華頂宮邸 旧神谷伝兵衛稲毛別荘
甲信越
忍野村の民家 東山梨郡役所 清水医院 旧座光寺麻績学校
東海
合掌集落 白川郷(荻町) 白川郷(かん町) 白川郷(和田家)
明治村 蔵持小学校 宇治山田郵便局 東松家住宅 菅島燈台附属官舎
菊の世酒造 三重県庁舎
大正村 大正村役場 旧明知郵便局 旧銀行蔵
豊川・彫刻師家 半田・酢の里 伊勢・賓日館 旧高山町役場 沼津御用邸・西附属邸
岡崎旧商工会議所 熱海・起雲閣 豊橋市公会堂 浜松・旧高山家住宅
北陸
合掌集落 五箇山(相倉) 五箇山(菅沼)
金沢 ひがし茶屋街 にし茶屋街 主計町茶屋街 金沢監獄正門
金沢監獄中央看守所監房 四高武術道場 四高物理化学教室
近畿
大阪 赤レンガ建築 愛珠幼稚園 大阪市中央公会堂 アラベスク模様
神戸 うろこの家 ラインの館 風見鶏の館 萌黄の館
山手西洋人住居
京都 祇園 京都中井酒造 茶室 亦楽庵 中京郵便局
近江八幡 旧八幡郵便局 白雲館
南丹 茅葺き(美山) 茅葺き(日吉)
近江商人屋敷 千早赤阪小・講堂 芝川又右衛門邸 宮津裁判所法廷 伊根・舟屋
呉服座 南都銀行本店
中国
旧田中義一別邸 旧明倫小校舎
高梁 吹屋の町並み@ 吹屋の町並みA
懐かしい家並み 築地松 閑谷学校 津和野町役場
四国
三好 長岡家住宅 木村家住宅 東祖谷大枝集落 東祖谷落合集落
丸亀(本島) 笠島の町並み@ 笠島の町並みA
室戸 いしぐろ 水切り瓦@
安芸 土居廓中 水切り瓦A
内子 八日市護国@ 八日市護国A
美馬・うだつの町並み 香南・水切り瓦B 土佐清水・吉福家住宅 高松・披雲閣
九州
長崎 南山手二十五番館 東山手甲十三番館 東山手十二番館 東山手洋風住宅群
旧出島神学校
旧高城家住宅 二つ家 知覧型二ツ家
全国
なまこ壁 下田 京都・西本願寺 東海道・岡部宿 中山道・福島宿
蔵・土蔵


Copyright(c) 2002-2024 写真紀行 uchiyama.info All Rights Reserved.