与三郎の墓

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　＜墓地や終焉の地を巡る写真紀行＞

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与三郎の墓

切られ与三　　　千葉県木更津市

　与三郎の墓は、歌舞伎の「与話情浮名横櫛（よわなさけうきなのよこぐし）」で描かれている通称「切られ与三（きられよさ）」のモデルとなった人物。与話情浮名横櫛は、木更津が舞台の与三郎、お富の恋物語です。
　以下は松竹の解説文から引用する。
　運命的な出会いをした与三郎とお富の変転を描いた「世話物」です。通常、２人が木更津の浜で出会う通称「見染（みそめ）」、３年後に変わり果てた姿で再会する通称「源氏店（げんじだな）」の２場が上演される。「源氏店」の与三郎の「しがねえ恋が情けの仇」から始まるせりふは、名ぜりふとして有名です。
　「切られ与三」の通称は、与三郎が受けた３０箇所以上の切り傷からきている。与三郎が出会った当時のお富は、木更津の親分の妾でした。与三郎はお富と忍び会っていたことがばれ、見せしめのために全身を切られてしまう。このときの傷から、「切られ与三」というあだ名を付けられ、作品の通称となった。
　後に河竹黙阿弥（かわたけもくあみ）が、この作品を元にしてお富が傷だらけとなる」處女翫浮名横櫛（むすめごのみうきなのよこぐし）」（通称「切られお富」）を書いた。
　昭和２９年（１９５４）、春日八郎が歌って大ヒットした「お富さん」は、この「与話情浮名横櫛」（切られ与三郎）を元にしている。

＜お富さん＞　作詩：山崎　正　　作曲：渡久地政信　　歌：春日八郎

１	粋な黒塀　見越しの松に　仇な姿の　洗い髪　死んだ筈だよ　お富さん　生きていたとは　お釈迦さまでも　知らぬ仏の　お富さん　エーサオー　玄治店(げんやだな)
２	過ぎた昔を　恨むじゃないが　風も沁みるよ　傷の跡　久しぶりだな　お富さん　今じゃ呼び名も　切られの与三(よさ)よ　これで一分じゃ　お富さん　エーサオー　すまされめえ
３	かけちゃいけない　他人の花に　情かけたが　身のさだめ　愚痴はよそうぜ　お富さん　せめて今夜は　さしつさされつ　飲んで明かそよ　お富さん　エーサオー　茶わん酒
４	逢えばなつかし　語るも夢さ　誰が弾くやら　明烏(あけがらす) 　ついてくる気か　お富さん　命みじかく　渡る浮世は　雨もつらいぜ　お富さん　エーサオー　地獄雨

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