写真紀行・旅おりおり
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千畳敷海岸
津軽国定公園 青森県西津軽郡深浦町
千畳敷周辺は寛政4年(1792)の地震で海床が隆起し水面にあらわれたところで、かぶと岩、潮吹き岩等の奇岩怪岩が多く見られる。
その昔、領内巡視で立ち寄った弘前藩主はここに千畳の畳を敷いて、200間の幕を張り風景を眺望したことから千畳敷と呼ばれるようになったと言われている。
その後も太宰治、大町桂月など多くの文化人らが訪れ、この景色を賞賛している。
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太宰治 小説「津軽」
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……木造から、五能線に依って約三十分くらゐで鳴澤、鰺ヶ澤を過ぎ、その邊では津軽平野もおしまひになつて、それから列車は日本海岸に沿うて走り、右に海を眺め左にすぐ出羽丘陵北端の餘波の山々を見ながら一時間ほど経つと、右の窓に大戸瀬の奇勝が展開する。この邊の岩石は、すべて角稜質凝灰岩とかいふものださうで、その海蝕を受けて平坦になった斑緑色の岩盤が江戸時代の末期にお化けみたいに海上に露出して、数百人の宴会を海濱に於いて催す事が出来るほどのお座敷になつたので、これを千畳敷と名附け、またその岩盤のところどころが丸く窪んで海水を湛へ、あたかもお酒をなみなみと注いだ大盃みたいな形なので、これを盃沼と稱するのださうだけれど、直径一尺から二尺くらゐのたくさんの大穴をことごとく盃を見たてるなど、よっぽどの大酒飲みが名附けたものに違ひない。この邊の海岸には奇岩削立し、怒涛にその脚を絶えず洗はれてゐる。と、まあ……(「千畳敷海岸隆起生誕200年記念」石碑の碑文)
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