写真紀行・旅おりおり
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弘田龍太郎の墓
全生庵 東京都台東区
「春よ来い」「叱られて」などの作曲家。明治25年(1892)、高知県に生まれる。大正3年(1914)、東京音楽学校(現、東京藝術大学)を卒業、さらに研究科を修了し母校で教えた。昭和3年(1928)、ドイツに留学、翌年に帰国し7月、同校教授に任命されたが、9月には作曲活動に専念するため職を辞した。
弘田龍太郎は、作曲や合唱指導など音楽活動に大きな足跡を残した。さらに晩年には、幼稚園を設立、園長となり幼児の音楽指導にあたった。特に中山晋平らとともに多くの童謡を作曲したことはよく知られている。その活動は幅広く作品は千数百曲にも及ぶという。
主な作品には、「くつが鳴る」「雀の学校」「雨」「鯉のぼり」「お山のお猿」などの童謡、「浜千鳥」「小諸なる古城のほとり」「千曲川旅情の歌」などの歌曲があり、今なお愛唱されている。このほか歌劇、合唱曲、仏教音楽、舞踊曲など多方面にわたる作曲活動を行った。
昭和27年(1952)、文京区本郷の自宅で亡くなり、ここ全生庵に葬られた。享年60歳。平成元年春、親族によって、龍太郎夫妻が眠る墓のかたわらに、「叱られて」(清水かつら作詞)の譜面と、作曲家松村禎三の撰文が浮き彫りされる碑が建立された。
弘田龍太郎 昭和27年、文京区本郷の自宅にて没、ここに眠る。
彼は大正・昭和にかけて、器楽曲、オペラ、舞踊曲等活発な作曲活動をしたが、中でも千数百曲におよぶ歌曲と童謡の作曲は彼の代表的な仕事となった。彼のうたは人の心の最も自然な息吹きであり、その瑞瑞々しさは風雪をこえて些かも色褪せることはない。数多くの曲が発表当時から国民的な規模で愛唱されつづけ、日本人の心の原風景の中に光を孕んだ風のように棲みつづけるものとなった。「千曲川旅情のうた」「叱られて」等の歌曲、「春よ来い」「靴が鳴る」等の童謡は最も人々に膾炙された傑作である。 撰文 松村禎三
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