京都府立植物園は京都市街北部の平坦地に位置し、東は比叡山、東山連峰を望み、西に加茂の清流、北は北山の峰々を背景とした景勝の地にある。
大正6年(1917)に着工し、同13年(1924)1月1日に「大典記念京都植物園」として開園した。第2次大戦中は園内に菜園が設けられ食糧増産の場になり、戦後は、昭和21年(1946)から12年間連合軍に接収された。このとき多くの樹木が伐採されるなど苦難の時代が続いた。
昭和36年(1961)4月、憩いの場、教養の場としてその姿を一新し、再び公開しました。再開後も園内整備事業を推進し、昭和45年(1970)に「日本の森」を、同56年(1981)には、「洋風庭園」を造成しました。平成4年(1992)4月に「観覧温室」、「植物園会館」を竣工、同年12月には「北山門」を完成するなど、施設の整備充実をはかってきた。
平成16年(2004)には開園80周年を迎え、植物園が府民の憩いの場に加え、自然に対する親しみと敬いの心を育む、花・緑の活動の拠点として、また、学習・教育の場としての社会的役割がますます高くなっている。今後さらに増加し多様化することが予想される利用者のニーズに対応すべく情報の提供や新たなプログラムの創設などさらなる内容充実をはかっている。
園内の南半分には、正門付近の1年草を中心とした四季の草花が鑑賞できる正門花壇と観覧温室及びバラを中心とした造形花壇、噴水や滝のある沈床花壇よりなる洋風庭園などの人工的な造形美で構成されている。中でもキソウテンガイやバオバブなど世界の熱帯植物を身近に観賞できる観覧温室は、面積、植栽植物の種類ともに日本最大級の温室です。
これに対し、園の北半分には、園内唯一の自然林である半木(なからぎ)の森や日本各地の山野に自生する植物をできるだけ自然に近い状態で植栽した植物生態園、およびその周辺には、わが国の風土に育まれ、古くから栽培されてきた桜、梅、花菖蒲などの園芸植物や竹笹、針葉樹などを植栽した日本の森として、より自然的な景観を形づくっている。
また、北西部には宿根草・有用植物園がある。植物園会館は研修室、展示室、園芸サロンを充実させるとともに、生涯学習の拠点となるよう、図書やAV機器を導入するなど、植物園に対する多様なニーズに応えるよう努めている。また、1年を通じて各種展示会をはじめ、植物園教室、観察会などの催しを開催し、植物園芸相談業務なども行っている。(京都府立植物園HPより引用)
<つばき園>
つばきはカメリア・ジャポニカの学名が示すように、日本の風土が育んだ代表的な花木であり、わが国では古くは万葉の時代から身近な植物として人々に親しまれ、室町時代この方、品種改良も盛んに行われ、特に桃山時代から江戸期にかけて多くの品種が生まれている。
本つばき園は園の東北部一帯の日本の森に位置し、それら日本古来の古典品種を中心に250品種400本のつばきが見本園形式に植栽されており、色とりどりの美しい花が春3月から4月にかけて咲き揃う。(つばき園面積約4,000u)
<針葉樹林>
針葉樹は、広葉樹が広い葉をもつ植物をいうように、針状でかたい葉をもつ樹木をいう。また、広葉樹には、花がカラフルで目立つ花木が多いのに対して、針葉樹は、花、葉、樹形ともに地味だが、森林を構成する大切な樹木です。
なからぎの森および池の東側は、マツ、スギ、ヒノキ、サワラ、イヌマキ、コウヤマキなどが群生する針葉樹林帯で、日本産の針葉樹はもちろん、外国産のマツ類、ヒノキ類、ヒマラヤシーダー、コウヨウザン、セコイアなど、建築材やパルプ材として用いられる有用樹木も植栽されており、年中緑に彩られた重厚な針葉樹の見本林となっている。 |