<老玉>(うばたま)
菓銘「老玉」とは、黒くて丸い形が、あやめ科の桧扇という植物の実に似ているので、名付けられた。古くは、夜、月、夢といった言葉の枕詞に、
「ぬば玉の…」と用いられた。
鳥の濡羽にも似た漆黒の色なので”鳥羽玉”とも書き、”ぬばたま””うばたま”と訓(よ)む。
丹波神吉工場裏から湧出する氷室の水でよくさらした小豆のこしあんをあん玉とし、沖縄産の特上黒砂糖を羊羹状にしてころも掛けをする。
居明して 君をばまたむ ぬばたまの 吾が黒髪に 霜は降るとも |
(万葉集 二ー八九)
追
今迄、老玉の一コ一コのいただきにわづかのケシをつけていたが、いつの間にか国内では栽培禁止となっていた。そこで身土不二への想いから最近、国産の胡麻にかえた。ところが現在、この胡麻も入手困難な状況。一体日本の農業はどうなってしまうのだろうか?私達は、小豆、栗、もち米を主に耕作しているが、更に充実しなければならないという思いが昂じる。(試しに胡麻を植えてみた。わづかな収穫があった。日本の国土で胡麻が出来る事の確信を得た。わづかづつでもつくりつづけねば…と決意。 平成14年5月) (以上説明文より) |